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公開日: 2017年02月02日
更新日: 2024年01月23日

漢方で冷え症・冷え性に備える。体質改善の方法も紹介

冷え症

「冷えは万病の元」と言われます、冬はもちろん、夏は冷房により、年中冷えに悩まれている方も多いのでは。 一言で冷えと言っても、自覚症状は人によって違います。ここでは、冷えを漢方的にタイプ分けして、おすすめの漢方薬の紹介をしていきます。

冷え症・冷え性とは

現代医学では「冷え性」は、明らかな原因がなく冷えに対する過敏な性質のこと。
漢方医学では「冷え症」を身体バランスの乱れからくる重大な病態として、放置しておくことでさまざまな病気につながる(未病)ため、治療の対象として捉えられています。漢方薬の効能効果に「冷え症」があるのもうなずけますね。 

冷えが表れる部位は、手足の末端から腹部、腰までと全身に及び、気温とは関係なく冷えを感じる状態を「冷え症」といいます。
冷えの原因は、加齢、生まれつきの体質によるものや、生ものや冷たい飲食物の摂り過ぎ、運動不足、冷房による身体の冷やし過ぎ、ストレスなども一因になります。
冷えている状態に慣れてしまいつらく感じない方もいます。冷えをそのまま放置すると内臓機能や免疫力の低下に発展する恐れがあります。
参考:冷え症と冷え性~寒邪から身体を守る養生法~ - 漢方ライフ- 漢方を始めると、暮らしが変わる。*1

冷え症に多い症状

寒さ(冷え)の影響は、巡りが悪くなることで痛みがでたり、機能が低下することで様々な症状が悪化しやすくなります。また、温めると症状が楽になる特徴があります。

具体的には、手足末端の冷え、あがぎれ、しもやけ、関節痛、腰痛、神経痛、生理痛、冷えのぼせ、トイレが近い、などの症状があらわれます。
また、伴う症状として、朝が弱い、汗がかけない、むくみ、だるさ、下痢、生理不順、などが多くみられます。

冷え症の3つのタイプ

お腹タイプ

このタイプは、消化器系が弱く、虚弱体質、慢性疾患、過労、暴飲暴食など様々な原因により身体を温めるエネルギーが消耗し、消耗した分のエネルギーを補えないため冷えてしまいます。
漢方では「裏寒」といい重要な病態。
消化機能低下に加えて婦人科疾患(月経不順・月経痛・不妊症)でもみられます。

滞りタイプ

このタイプは、寒さの影響や精神面、感情の影響を受けやすく、緊張すると手足がすぐに冷たくなる、しもやけになりやすいなどが特徴です。
多くは足先、手先の冷えから中心に向かって範囲が拡大します。

腰タイプ

このタイプは、腎が弱くてむくみやすい、足腰に力が入らないなどの傾向があり、冷えの原因にもなります。
下半身を中心に、腰~大腿(ふともも)の冷えが気になる傾向があります。
骨盤内のうっ血(血のもどりがよくない)によることが多く、漢方では血行不良状態の瘀血(おけつ)と考えて対応します。
参考:冷え症_漢方の智慧 - 漢方ライフ- 漢方を始めると、暮らしが変わる。*2

漢方で体質改善して冷えに備える

漢方では症状を「身体からの声(SOS)」としてとらえ、根本から原因を考え、単に身体を温めるのではなく、冷えやそれに伴う症状も一緒に改善していきます。
例えば、食欲低下や下痢を伴う場合は「温めて消化や吸収の機能も整える」、緊張による手足の冷えの場合は「温めて滞りを解消する」など改善策は様々です。
漢方薬はその声や体質に応じて約200種類から選定していきます。
また、冷えの原因は生活習慣も関係しています。生活習慣を見直すことで、改善への近道になります。
まずは自分の症状タイプを知り、それに合わせた生活習慣を取り入れていきましょう。

過労や睡眠不足により、「気」や「血」をたくさん消耗すると身体が冷えます。また、ストレスや寒い環境によって、「気」や「血」の巡りが悪くなると、エネルギーと栄養が届かず、冷えにつながります。

冷え症におすすめの漢方薬

<お腹タイプ>
気血を補う漢方薬を体質に合わせて用います
・小建中湯
・人参湯
・当帰芍薬散
・加味逍遙散
など、当帰芍薬散と加味逍遥散は婦人科疾患でもよく使われます。
<滞りタイプ>
寒さを散らし温める漢方薬を用います。
・五積散
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯
・疎経活血湯
・桂枝加朮附湯
など、
<腰タイプ>
下半身を中心に血行をよくする漢方薬を用います。
腎を補う
・八味丸
・牛車腎気丸
瘀血(おけつ)によく使う
・桂枝茯苓丸
・温経湯
など

実際に漢方薬を服用する場合は、体質や症状に合わせて選択することが大切です。

冷え症タイプ別チェック

まずは、ご自身のタイプを知り、そのタイプに合った生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。

〈タイプを問わず、まずは冷えになる原因を無くしましょう〉

・冷たいものや生ものはなるべく控えめに
・冷房は直接あたらないような工夫を
・太陽の光を浴びるようにする

・首、腰、足首など関節を冷やさないように
・屋外での適度な運動をする
・入浴や足湯を習慣に

当てはまる症状にチェックを入れてください。

上記内容でチェックする

あなたのタイプは…お腹タイプ

このタイプは、消化器系が弱く、虚弱体質、慢性疾患、過労、暴飲暴食など様々な原因により身体を温めるエネルギーが消耗し、消耗した分のエネルギーを補えないため冷えてしまいます。

代表的な漢方薬

人参湯(ニンジントウ)
身体を温めて、元気を補うはたらきがあります。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 生もの、冷たいものを控えましょう。生姜やウイキョウ(フェンネル)がお腹の冷えに良く、さらに穀類、豆類、山芋、 ニンジン、 鶏肉、羊肉、レバー 、高麗人参、 ナツメなどもお勧めです。

  • 激しい運動は控え、お腹を強くする気功、散歩などのゆったりとした運動がお勧めです。

  • 睡眠や休憩時間を増やしましょう。夜は早めに寝て、気血の消耗を防ぎましょう。

おすすめのツボ
中脘(ちゅうかん)
  • 場所

    おへそとみぞおちの真ん中、おへそから両指幅3本分上がったところ。

  • 効果

    さまざまな消化器の症状に効果がありますが、特に胃の疾患によく効きます。

ワンポイントアドバイス

カイロや腹巻などでお腹を温めたり、お腹をマッサージすると冷え、
胃もたれや食欲不振に良いでしょう。

あなたのタイプは…滞りタイプ

このタイプは、精神面、感情の影響を受けやすく、緊張すると手足がすぐに冷たくなる、しもやけになりやすいなどが特徴です。

代表的な漢方薬

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
身体を温めて、気血を巡らせ、冷えや痛みなどを改善します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 気分転換をして、緊張をほぐすように心がけましょう。プラスの考え方や言葉遣いを意識してみましょう。

  • 香味野菜(春菊、ニラ、香菜など)やハーブ類、みかん、金柑などの柑橘系を摂りましょう。生姜、ネギのような香辛料、お酒は適度に取り入れるとよいでしょう。 

  • 身体をよく動かすことや、ストレッチは気・血の巡りを良くしてくれます。

  • 短い時間でもリラックスを心がけ、深呼吸をして、滞りを解消しましょう。

おすすめのツボ
三陰交(さんいんこう)
  • 場所

    内くるぶしの上、人差し指から小指の指幅4本分上がった骨の後ろ側。

  • 効果

    足全体の血行を改善し、血を巡らせて身体を温めます。

ワンポイントアドバイス

アロマやハーブの香りでリラックスを心がけましょう。

あなたのタイプは…腰タイプ

このタイプは、腎が弱くてむくみやすい、足腰に力が入らないなどの傾向があり、冷えの原因にもなります。

代表的な漢方薬

八味地黄丸(ハチミジオウガン)
足腰および下半身の冷えやだるさがあるものの、むくみや頻尿などを改善します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 生野菜や果物、冷たいものを控え、シナモン、杜仲は腰の冷えに良くて、またニラ、羊肉、クルミ、黒豆、黒ごま、黒米、シナモン、などを積極的に摂りましょう。

  • 激しい運動は控えめに、足腰を強くする気功や太極拳などのゆっくりした運動の習慣を身につけましょう。

  • 睡眠や休憩時間を増やし、ゆっくり休みましょう。

おすすめのツボ
腎兪(じんゆ)
  • 場所

    ウエストの高さにある背骨の中心から人指し指と中指2本分外側。

  • 効果

    腎の機能を活性化することで腰痛にも効果があります。

ワンポイントアドバイス

腰から下を温めましょう。腹巻きやレッグウォーマーもお勧めです。

お悩み改善エピソード ー相談員よりー

30代 女性 K様  相談員:C・A

もともと冷えのお悩みがあり秋冬になってさらに冷えが気になってご相談になったK様。
手の指が朝晩冷たくなる・仕事上手洗いが多いのであかぎれやしもやけにもなる・職場の床も冷たいので足も冷えて痛くなるという辛さを抱えていらっしゃいました。
今まで漢方を飲んだことがなく、「漢方ってどんなものかな?」と思いながらも、実際に飲み始めると「意外と飲めるし、続けることはできそう」と感じたとのことです。
K様によると飲み始めて 1ヶ月目はあまり変化を感じなかったが、2ヶ月目には前より少し冷えが楽になったような感じがあり、3ヶ月目、ちょうど寒い時期にしもやけが出なくなって感動したとのことでした。
私からは冷えを改善するためには生活改善も必要とお伝えしたので、なるべくよく寝るようにすることも心がけていただいています。
K様からは、「冬がこんなに楽に過ごせることがなかったので嬉しい」「冷え以外にもよくしたいことがあるので、健康に過ごすためにもこれからも漢方を続けることと生活を整えることを頑張っていきたい」というお言葉を頂きました。
冷えがとてもお辛そうだったので、少しでも元気に冬が過ごせるようになって私も嬉しく思いました。
これからも冷え知らずで過ごしていただきたいので、引き続き健康の応援をしていきたいと思っています。

冷え症・冷え性でお悩みの方へ

漢方相談では、カウンセリングを通してお客様一人ひとりの症状や体質を確認しながら、それに合う漢方薬のご提案や、体質の根本的な改善のための生活アドバイスを行っています。快適に毎日を過ごすために、漢方相談をぜひご活用ください。

今回の記事では以下の内容をお伝えしました。

・「冷え性」は原因が不明な冷えに対する過敏性を指し、漢方医学では「冷え症」を体調不良からくる重大な病態として治療が必要な状態と捉える。
・冷えは手足の末端から腹部、腰まで影響し、生活習慣や体質が主な原因である。
・冷え症は内臓機能や免疫力低下に繋がる恐れがあるため、放置せず対処が必要。
・漢方では、冷え症の治療に約200種類の薬から体質や症状に合わせたものを選び、生活習慣の見直しと組み合わせる。
・お腹タイプ、滞りタイプ、腰タイプなどの冷え症タイプがあり、、それぞれの原因に合った、漢方薬と特定の食材を組み合わせたケアが有効です。

監修者メッセージ

鈴木 養平(Suzuki Youhei) 薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師
薬日本堂株式会社取締役学術教育部長
日本漢方養生学協会理事長
日本薬科大学特任教授

鈴木 養平(Suzuki Youhei)

体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。

監修者プロフィールはこちら

運営者情報

薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)

1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)

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