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公開日: 2015年04月21日
更新日: 2023年10月18日

花粉症は体質改善で治る?漢方を花粉症のタイプに合わせて使う方法

花粉症

今や国民病ともいわれる「花粉症」、毎年つらい思いをしている方も多いのではないでしょうか?
漢方薬によってつらい症状を和らげ、生活養生を合わせることで体質改善を目指すこともできます。
ここでは「花粉症」のタイプと症状、漢方薬での対処法、日常生活で可能な養生法をご紹介します。

「気」は水分代謝にも関わっているため、過労や睡眠不足などにより「気」が不足すると、体内の「水」が渋滞を起こして鼻水につながります。

花粉症とは

「花粉症」はアレルギー性鼻炎の一種で、花粉の飛散が多くなる時期に目や鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがどの症状があらわれます。喘息やアトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患を持っている方は、花粉症になりやすい傾向があるといわれています。
花粉症の原因は、飛散している花粉が鼻の粘膜を刺激して起きる過剰な免疫反応です。スギやヒノキの花粉は3~4月、イネ科植物の花粉は5月、ブタクサは9~10月頃に多く飛散するので、この時期に症状が多くみられます。
花粉症の患者が増えている要因は、花粉の飛散量の増加や大気汚染などの外的要因と、食生活の変化や運動不足、過剰なストレスなど内的要因があるといわれています。特に食生活では、日本で古来から食されてきた雑穀や発酵食品の摂取量が減少していることも大きく関わっていると考えられています。

漢方で花粉症の症状を和らげる

漢方では症状を「身体からの声(SOS)」としてとらえ、押さえ込むだけではなく、原因を考えて根本から対処します。水っぽい鼻水が多く冷えを伴う場合と、黄色く粘る鼻水でほてりを伴う場合では対策が異なります。自分にあったものを選べること、強い眠気などの副作用がないため生活への支障が少ないことは漢方の利点です。
毎年悩まされる花粉症の緩和には、症状が出ないような漢方・養生による予防、体質改善も重要です。

漢方で体質改善

花粉症の悪化には、生活習慣が大きく関わっていると考えます。睡眠不足や飲食の不摂生、過剰なストレスなどは身体が本来持っている治癒力や防御力を弱めてしまいます。そのため生活習慣を見直して身体を整えると、花粉症などアレルギー性の鼻炎や喘息、皮膚炎の改善にも役立ちます。花粉症の症状タイプにあわせた生活習慣を心がけましょう。
花粉症の対策として、つらい症状が出てから対処することも大事です。漢方薬を選ぶ際は、症状と体徴(身体にあらわれる特徴)、生活の傾向などさまざまな要素を把握することで適切なものを選ぶことができます。症状が出る前、早めに対処することで症状の悪化を緩和することも可能です。
さらに漢方では、症状が出ていない時期の過ごし方で体質改善を目指すことも重要だと考えます。漢方薬と生活養生を合わせて、花粉症に負けない身体を作りましょう。

花粉症のタイプを知る

まずは、ご自身の花粉症のタイプを知り、そのタイプに合ったお勧めの生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。

冷え
タイプ

水っぽくサラサラした鼻水があふれてつらい場合には、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)がおすすめです。
冷えタイプの花粉症は、冷気にあたったり朝起きたときにくしゃみと鼻水が止まらない症状が特徴です。生野菜や水気の多い果物、氷を入れた飲み物を好んで摂ると悪化します。もともと冷え性だったり、胃腸が弱く水分代謝が悪い方も冷えタイプの症状に悩まされる傾向があります。
小青竜湯には身体を温める生薬が多く配合されていて、温めて水の循環を促し余分な水を身体から排出することで、あふれる鼻水の症状を緩和します。花粉症だけでなく、ホコリやハウスダストなどが原因で起こるアレルギー性鼻炎、鼻水が多いかぜ、水っぽい痰が多い気管支炎などの症状改善にも役立ちます。

ほてり
タイプ

顔面が熱っぽく鼻がつまってつらい場合には、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)がおすすめです。
ほてりタイプの花粉症は、鼻水や目やにが黄色く粘り、鼻づまりや目の充血などの症状が特徴です。辛いものや揚げ物、脂っこいもの、お酒や刺激物を好んで摂ると悪化します。もともと暑がりだったり、ストレスが多くイライラしやすい方もほてりタイプの症状に悩まされる傾向があります。
辛夷清肺湯には熱を冷ます生薬が多く配合されていて、鼻やのどの炎症を鎮め呼吸器を潤すことで、黄色く粘る鼻水や鼻づまり、息苦しさ、顔面が熱っぽくボーっとするような症状を緩和します。花粉症だけでなく、慢性鼻炎や蓄膿症(副鼻腔炎)の症状改善にも役立ちます。

虚弱
タイプ

疲れやすく身体全体の機能が低下し、毎年つらい花粉症に悩まされる場合は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)がおすすめです。
虚弱タイプは、生まれつきの虚弱や胃腸虚弱、体力消耗の傾向があり、普段からかぜをひきやすい、軟便下痢傾向でむくみやすいのが特徴です。
花粉症の鼻水症状がおさまっている時期に、弱っている部分を補い整えることで、毎年の症状が出にくいように身体が強化されます。「気」には身体を外敵から守る働きがあります。「気」を増やすために胃腸の調子を整えて食べ物からしっかり栄養を取り込み、余分な水をため込まないことが大切です。
補中益気湯には、消化吸収を担う五臓の「脾」を助けて「気」を補う生薬が配合されています。胃腸の調子が改善すると花粉症の症状が緩和することがあります。

当てはまる症状にチェックを入れてください。

上記内容でチェックする

あなたのタイプは…冷えタイプ

このタイプは、冷気にあたったり、朝起きたときにくしゃみと鼻水が止まらないのが特徴です。一般的に冷たい食べ物や氷を入れた飲み物を好む方に多くみられます。

代表的な漢方薬

小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
くしゃみと水様の鼻水、咳や白い痰が多い、また息苦しいなどの症状に有効です。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 緊張はエネルギーの流れを悪くするので、リラックスしましょう。

  • 生姜、ネギ、にんにく、らっきょう、ニラ、シソ、シナモンなどがお勧めです。冷たい飲み物や生野菜、生ものは控えましょう。

  • 温まるまで運動するように心がけましょう。

  • 適当な休息は身体を温める力のチャージにつながります。

おすすめのツボ
陽池(ようち)
  • 場所

    首の甲側、横しわの中央にある。

  • 効果

    気血の流れを良くするため温める力のチャージや水分代謝にも良くするたらきがあります。

ワンポイントアドバイス

部屋の換気を心がけ、日光に当たるようにしましょう。

あなたのタイプは…ほてりタイプ

このタイプは、鼻水や目やにが黄色で、鼻づまりや目の充血が特徴です。一般的に辛いもの・揚げ物・刺激物を好む方が多くみられます。

代表的な漢方薬

辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
鼻やのどの赤み、鼻づまり、息苦しさを改善します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 気持ちは焦りやすい、落ち着くように心がけましょう。

  • 肉より野菜、揚げ物より煮物にすると良いでしょう。
    甘いもの、油っぽいもの、辛いもの、揚げ物、酒類を控え目に。
    味付けは薄味がおすすめ。

  • 激しい運動を控えめに。リラックスしながら歩くのがお勧めです。

  • 睡眠や休憩時間はクールダウンにつながります。ほてりや充血の改善につながります。

おすすめのツボ
迎香(げいこう)
  • 場所

    小鼻のすぐ横のくぼみにある。

  • 効果

    鼻の周りの滞りをよくするため、鼻の通りを良くするはたらきがあります。

ワンポイントアドバイス

目や鼻の痒み・つまりには、ミントのお茶がお勧めです。

あなたのタイプは…虚弱タイプ

このタイプは、生まれつきの虚弱や体力消耗の傾向があります。 特に呼吸の肺、排泄の腎が弱り、水分代謝が低下している状態の方が多くみられます。

代表的な漢方薬

補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
気を補い、胃腸が弱く疲れやすいものの食欲不振や倦怠感を改善します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 虚弱によって鬱になったり、やる気が出ないことがあるのを知って受け入れて、無理をしないように。

  • 生野菜や果物、冷たい飲食物を控えましょう。羊肉、クルミ、黒豆、黒ごま、黒米、シナモンなどがお勧めです。

  • 体力に合わせて激しい運動は控えめに、歩く、ヨガや太極拳などのゆっくりした運動がお勧めです。

  • 疲れが取れるように睡眠や休憩時間を増やしましょう。

おすすめのツボ
湧泉(ゆうせん)
  • 場所

    足の指を丸めたときにできる、足の裏のくぼみの中央にあります。

  • 効果

    元気が湧いてくるツボ、また水の流れも元気にするはたらきがあります。

ワンポイントアドバイス

腹巻きやレッグウォーマーでなどで寒さを防ぎましょう。
日光浴もお勧めです。呼吸が浅くなると不調が出てしまいます。
リラックスした状態で深呼吸しましょう。

お悩み改善エピソード ー相談員よりー

40代 女性 T様  相談員:Y・S

20歳の頃、もともとアレルギー体質ではなかったのに初めて花粉症になったというT様。ある日突然くしゃみと鼻水が止まらなくなり、目が真っ赤に充血して、肌のTゾーンがとにかく痒く、搔きむしって色素沈着するほど悪化してしまうのだそうです。
この後、花粉だけでなく、ハウスダストや気温差など、ありとあらゆるものにアレルギー反応が出て、1年中ほとんどの時間をアレルギーに悩まされる状態になってしまいました。
病院ではアレルギーの薬が出されましたが、効果は今一つ。「アレルギーの薬をこのまま一生飲み続けるのも不安」ということで漢方カウンセリングを予約していただけました。
ご来店時は掻痒感が酷く、お顔も真っ赤で、相談中もティッシュで常に鼻をかみながらという、大変お辛い状態でした。カウンセリングでは、花粉症の症状だけでなく、5年前に手術を受けた子宮内膜症のことや、仕事でイライラしていること、実は気になっていた冷え性のことなど、普段人に相談しにくいと思われる悩みもT様から伺うことが出来ました。
「漢方薬は苦かったが3日も飲むと慣れてきた」「そのうちだんだんと肌の痒みがとれてきた」など、変化が出てきたことを伺いました。例年2月はスギ花粉が酷いようなのですが、「今年は鼻水やくしゃみもそこまで気にならず、指先もぽかぽかして、体調のいい日が続いている」と嬉しそうにおっしゃってくださいました。今ではお顔の赤みがとれ、色素沈着も薄くなり、カウンセリング中にティッシュを出さなくてもお話ができるようになりました。改善されて本当に良かったです。
また、花粉症の漢方薬だと思っていたのに、月経の血の色がきれいになってきたことに何より驚いていました。
漢方や薬膳の視点から、おすすめの食べ物や、養生をおすすめして、今は漢方薬を飲みながら生活改善を続けていただいています。
T様はお仕事が忙しく、食事をとらずにお菓子で済ませているような状態でしたが、アレルギーのお悩みと生活習慣には深い関わりがあります。本格的な煎じタイプの漢方薬を毎日続けていただいたことに加え、積極的に生活習慣を見直されたことも、早期の体質改善に繋がったのではないでしょうか。

花粉症でお悩みの方へ

漢方相談では、カウンセリングを通してお客様一人ひとりの症状や体質を確認しながら、それに合う漢方薬のご提案や、体質の根本的な改善のための生活アドバイスを行っています。快適に毎日を過ごすために、漢方相談をぜひご活用ください。

監修者メッセージ

齋藤 友香理(Saito Yukari) 薬剤師・漢方スクール講師
齋藤 友香理(Saito Yukari)

体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。

監修者プロフィールはこちら

運営者情報

薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)

1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)

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